創傷治癒とは

創傷治癒とは、傷跡・傷を治す学問のこと。怪我、ヤケドなど傷が後る場合があり、その傷を正しいケアをしないと、治癒は遅れ、そのまま跡に残ってしまう。ここ最近になり創傷治癒に対する情報が公開されるようになり、傷に悩む方の為の無料相談などを行っている機関もある。理想の創傷治癒は、損傷した組織が、元通りに再生されることです。しかし、損傷した組織は再生することはなく、瘢痕組織に置き換わるため、少なからず、“傷跡”が残ってしまいます。特に熱傷創では、創が治癒しても肥厚性瘢痕、瘢痕拘縮といった問題に悩まされることが多いでしょう。近年、bFGF製剤フィブラストスプレーの投与により、創が“早く”、“きれい”に治癒し、フィブラストスプレーは治癒後の肥厚性瘢痕や瘢痕拘縮を抑制することが報告されています。この、 “早く”、“きれい”な治癒、つまり、“QOWH : 創傷治癒の質”の向上が、今、学会等で話題を呼んでいます。

創傷治療の治療

創傷治療とは、迅速に損傷した皮膚組織を本来の機能的性質に修復する治療を言う。
事故による怪我や美容整形、熱傷、寝たきりによる床ずれ(褥瘡)、糖尿病による潰瘍などの治療に導入されており、世界各国で急速に普及が進んでいる。国内においても増大する医療費負担を背景に積極的に導入する動きが高まっている。創傷治療は低コストで受けられ、痛みの緩和、治療期間の短縮、瘢痕による変形防止など、患者に大きなメリットを与えられる優れた治療なのです。医師や看護士の創傷治療に対する知識が不足していることが原因で、こうした傷跡のトラブルが起こることから、最近は情報が公開され、傷に悩む人の無料相談を行っているサイトもある。

創傷治療とは慢性創傷

創傷治療とは6ヶ月以上治らない“慢性創傷”を専門に診る治療のことです。創傷には、圧や摩擦・ずれなどによる床ずれ、糖尿病をお持ちの方にみられる糖尿病性足病変、動脈性硬化症を伴う血流障害による動脈不全性の傷、また静脈不全症の傷、また静脈の動きが十分でなく、血流が貯留してしまうことにより生じる傷、その他術後の傷、ケガや事故による傷で治らないもの等、さまざまな原因があります。また近年において高齢化の進行や、食生活の変化による糖尿病の増加、生活習慣等による血管障害から、多くの人が慢性の傷で悩んでおられます。ただ単に傷が治らないというだけでなく特に糖尿病性潰瘍が悪化し、下肢切断に至るケースも見られます。現在日本ではこのような傷を専門に診る医師はおらず、整形外科・皮膚科・形成外科医などが治療にあたっていました。新須磨病院では傷で悩む患者さまのために創傷治療センターを開設しています。この創傷治療はとても画期的であり、表面に見えている傷を治すのではなく、その傷の奥に潜むもとから治療していきます。そのため、今までなかなか治らなかった傷も早期に治療することができます。

ドレッシング材

 「ドレッシング材」という言葉は、一般の方にとってはあまり聞きなれない言葉ではないでしょうか?「ドレッシング」と言っても、サラダにかけて食べるものではありません。傷を保護するために巻いたり覆ったりするものを総じて「ドレッシング材」と呼びます。従って、広い意味では昔から使われている「ガーゼ」や「包帯」もドレッシング材の仲間に入ることになります。しかし現在では、ガーゼや包帯の他にも様々なドレッシング材が開発されています。  ドレッシング材には色々な分類のしかたがあります。昔から使われているガーゼや包帯などに対して、新しく開発されたものを「近代ドレッシング」などと呼ぶ場合もあります。「傷を乾いたガーゼで治療するとどうなるか」のところでも説明しましたが、ガーゼや包帯には湿潤環境を保つ働きが無く、傷が乾燥してしまい治癒が遅れてしまいます。新たに開発されたドレッシング材の中には、創傷面の湿潤環境を保つために創面を密閉するものもあり、その性質から「閉鎖性ドレッシング」と呼ばれたりしています(全ての近代ドレッシングが「閉鎖性」と言う訳ではありません)。

色々なドレッシング剤

フィルムドレッシング。
 ポリウレタンで作られた、薄い透明なフィルム状のドレッシング材。粘着部分のシールを剥がして皮膚に貼り付けて、傷を密閉する。手術後の縫合創や、アルギン酸、ハイドロジェル(下記参照)を覆うための「二次ドレッシング材」として使用する。写真は腹部の縫合創を被覆するために使用したもの。こうするとカサブタができずに、きれいな縫合創となる。 ハイドロコロイド・ドレッシング。
 「カラヤガム」という親水性のコロイドと、薄いポリウレタンフィルムの2層からなっているドレッシング材。親水性コロイドの面に粘着性があり、こちら側が傷と接するようにして使用する。コロイドは浸出液を吸って「ドロドロ」のゲル状に溶けて、創傷面の湿潤環境を維持する。深い傷や浸出液の多い傷ではこの「ドロドロ」が直ぐに漏れ出てきてしまうため、このような傷の治療には向いていない。薄手のもの(写真左)と比較的厚めのもの(写真右)がある。 最近Johnson&Johnsonから発売されている「キズパワーパッド」という製品はこのハイドロコロイド・ドレッシング材である。
  ポリウレタンフォーム・ドレッシング。
 細かい気泡を含んだスポンジ状のポリウレタンで出来たドレッシング材で、表面はやはり薄いフィルムでコーティングされている。厚みがあり吸水性に優れているため、比較的浸出液の多い傷を覆うのに使用できる。これ自体には粘着性が無いので、粘着包帯などを利用して固定する必要がある。細く切ってドレインとしても使用できる。 写真は半分に切って裏面と表面を同時に見えるようにしたところ。下側の白い方を傷面に当てて使用する。

創傷治療の歴史的変遷

これまで人類が「傷を覆う」ために使ってきた素材はそれこそ枚挙に暇がない。一番最初はおそらく木の葉・草の葉だったろう。 紀元前25世紀頃のシュメール文字の陶板には蜂蜜と樹脂を混ぜたもので傷を覆ったと書かれているし,古代エジプトのパピルスには蛙の皮膚と獣脂を染み込ませた包帯についての記述があるらしい。
 医学の祖,ヒポクラテスは「感染していない傷は何かで覆わずに,乾燥させて痂皮を作ることで速く治癒する」と述べている。「傷は乾燥させる」という迷信の元はヒポクラテスだったんだな。
 ローマ時代のケルズス(Celsus,炎症の4徴候を記述した人)は,新鮮外傷はワインなどで洗った後に膏薬を用い,慢性潰瘍には蜂蜜と包帯の治療を提唱。ガレヌス(Galen)はワインを染み込ませた布で傷を覆うことを提唱するなど,今日の「湿潤環境による創傷治癒促進」を思わせる治療について説明しているが,,一方で,傷に塗るものとして豚のフン,沸騰した油(!)などとんでもないことまで記述している。ちなみに以後1500年間にわたり,こういう治療法が無批判に信じられ,続けられることになる。まさに暗黒時代である。

湿潤環境での創傷治癒

もっとも速い時期の報告は,1958年のOdlandによる「熱傷は水疱を破らずに,そのままにしておいた方が速く治癒する」というものだった。それまでは「熱傷の水疱は早く取り除き,乾燥させないと治らない」と信じられていたのだから,当時の常識を真っ向から覆す報告だった。
 次いで1962年,Winterが豚の皮膚欠損創に対し,ポリエチレンフィルムで覆った場合と,乾燥させて痂皮を作らせた場合を比較し,前者が後者より遥かに速く治ることを報告。その後,人間でも同じ結果が報告された。ここで「傷は乾かさず,湿潤環境で治癒する」ことが確立された。 このあたりから,傷が治るとはどういう現象なのか,傷ついた組織はどのように修復されるのか,各種の細胞はどのように連携しあっているのか・・・などについての基礎的報告が相次ぐことになる。
 1970年代初め,Roveeが,湿潤環境で創周囲の皮膚から上皮細胞が移動することで上皮が再生することを証明。 その後,各種の細胞の役割,各種のサイトカイン,Growth Factorの働きが明らかにされ,基礎的研究からも「湿潤環境を保つために何かで創を閉鎖する」治療法の正しさが証明された。